商工会における事業承継支援事業

基本方針

経営者の高齢化や後継者不足を理由に、事業承継は、地域経済の継続的発展のためにも重大な課題となっている。
事業承継に関する問題を抱える相談者(経営者、後継予定者等)の置かれている立場や状況は様々であり、両者の話を十分に聞き、公平で誠実な対応が求められることから、商工会の強みでもある「相談者との信頼関係」を基に、伴走型支援を通じて、商工会ならではの事業承継支援に取り組む。

取り組み内容

  1. 事業承継に関する会員企業実態調査の継続実施

    会員企業の事業承継に対する意識や準備状況などの実態を把握することで、今後の支援策立案の一助とし、円滑な事業承継を促進することを目的として、全商工会員を対象とした実態調査を継続的に実施する。実態調査の調査事項は、企業カルテに登録し今後の支援に活用していく。

  2. 状況に応じた個別具体的な支援の実施

    令和元年度に実施した事業承継に関する会員企業実態調査で蓄積された情報を基に、事業承継に対する支援対象を明らかにし、特任経営指導員が各商工会の経営指導員と共に同行支援を行う。
    一方で、事業所のライフサイクルに合わせたスムーズな廃業支援も含め、包括的な支援を行う。

  3. 事業承継セミナー等の開催による事業承継啓発活動

    事業承継に対する意識を高め、将来の経営を考えるきっかけづくりを進める講習会を開催するとともに、商工会員だけでなく会員外にも幅広く継続的に啓発していく必要があるため、新聞等へ広告掲載を行っていく。

  4. 「事業承継計画書」作成支援

    事業承継までの期間を明らかにした計画書の作成を支援する。各商工会においては、「事業承継計画書」作成目標件数を設定する。目標の達成に向け、特任経営指導員が張り付き、外部専門家も交えて確実に「事業承継計画書」作成につなげていく。

  5. マッチング支援

    事業継続の意向はあるものの、後継者が不在な事業所、事業継続の意向はないものの、事業継続の必要性が認められる事業所に対しても、具体的な方策を用いた支援を展開していく。
    ・熊本県事業引継ぎ支援センター、日本政策金融公庫、県内各金融機関との連携支援
    ・既存事業者の経営多角化計画や部門拡大等計画とのマッチング支援
    ・新規創業予定者、地域おこし協力隊等の創業計画とのマッチング支援

  6. 後継者育成事業の実施

    事業承継を円滑に行うため、また事業承継を契機に事業を成長させるために必要不可欠な後継者の育成に取り組む。セミナー等での集団講習や、それぞれの課題に対応する個別支援を計画的に実施する。特に、地域経済の担い手でもある青年部員が所属する事業所について、重点支援先として取り組む。

  7. 世代交代に伴う新たな取り組みと継続経営の実現

    事業を引き継ぐことのみを課題化するのではなく、環境変化に柔軟に対応し、利益を生み出す経営体質の強化を図るとともに、新たな取り組みの起点と成り得る、将来に向けた経営継続計画づくりを積極的に支援する。

  8. チーム支援による課題解決力の向上

    事業承継を実現するうえで、まず商工会内部で情報共有し、支援方針を決定する。次に、実施にあたっては、専門的知識を必要とする課題が多いことから、税理士等の専門家、特任経営指導員とも連携した支援チームを編成し、課題解決力の向上に努める。